株式投資の復習「証券会社の選び方について・ネット証券編」
株の取引には「証券口座」が欠かせませんが、今はインターネットで取引が行える『オンライントレード』が主流となっています。
かつてネット証券界では、SBI証券、松井証券、楽天証券、カブドットコム証券、マネックス証券の大手5社が先導役となっていました。
ただ、2010年5月にマネックス証券がオリックス証券と合併、対面型だった大和証券もリテール(個人向け)サービスに注力する格好で手数料を大きく引き下げるなど、業界再編や業態変更の動きが見られています。
なかでもGMOクリック証券の躍進が目立っている点は見逃せません。シェアを伸ばす通貨証拠金取引(FX)での顧客支持をもとに、安価な手数料をアピールポイントに収益を伸ばし、今では大手6社の一角として位置付けられてきました。
依然として、SBI証券の収益規模、松井証券の収益力の高さが確認されていますが、手数料合戦も落ち着き、各社ともサービスの違いを打ち出してきました。
それでは、個々の証券会社の特徴について紹介していきます。
SBI証券
SBI証券は、ネット証券各社の営業収益、営業利益ではトップの地位の「業界最大手」。上場企業で総合金融業のSBIホールディングスの傘下にある信用力も持ち味となっています。
依然として、業界最低水準の手数料に堅牢な取引システムを備え、国内株式は現物・信用取引、単位未満株取引に債券、投信、外国株や先物オプション、FX、CFD、ワラントなど豊富な品揃えを擁しており、多くのニーズを満たす証券会社でしょう。
また、グループには住信SBIネット銀行の銀行代理業もあり、証券と銀行の口座をミックスさせた「ハイブリッド預金」で入出金も便利。SBI損保の保険業も手掛けており、株式取引だけでなく、貯蓄性や住宅ローンなど一般的な金融ニーズも汲み取っています。
ただ、取引ツール「HYPER SBI」を備えているものの、若干情報サービスの面がやや乏しい印象があります。とはいえ、あまり積極的な株式取引を行わなければ十分ともいえ、初めて証券口座を開設する方やNISA口座など中長期投資を行う方にとっては取引しやすい証券会社でしょう。
SBI証券
https://www.sbisec.co.jp/
楽天証券
楽天証券は、トレードツール『マーケットスピード』に定評があります。
トレードツール「マーケットスピード」は、豊富なテクニカル指標が反映できるチャート描画、リアルタイムニュースに四季報情報、日経テレコン、指値注文を集計した全板情報を表示する「フル板」などを備え、情報サービスが非常に充実しています。
刻々と変化する相場環境のなかで、ツール上で迅速に発注できることから、デイトレード、スキャルピングなど短期的な値動きで瞬間的な売買注文を下す「専業トレーダー」向きの証券会社でしょう。
また、SBI証券同様に上場企業の楽天グループとして、楽天銀行を擁していることから、口座連携サービス「マネーブリッジ」を展開。利便性と楽天のサービスで使えるポイントが付与されることもあり、一般的な金融ニーズも汲み取っていますが、やはり総合力ではSBI証券に見劣りします。
それでも、持ち味となる情報サービス、トレードツールの優位性を鑑みれば、活発に売買したいアクティブトレーダーにとって取引しやすい証券会社と言えるでしょう。
楽天証券
https://www.rakuten-sec.co.jp/
松井証券
松井証券はネット証券のパイオニア的存在です。いち早く1998年にネット取引を開始、定額手数料体系「ボックスレート」や信用取引無期限信用取引・一日信用取引を導入した経緯もあり、アクティブなデイトレーダーの支持を集めています。
また、松井証券も上場企業として信用度があり、業界トップクラスのサポートセンターを備えています。
また、証券会社としての収益力も大手のSBI証券や楽天証券などにも匹敵。事業安定性が高いうえ、取引ツールも備えていることから、他社にシステム障害が発生した場合の「保険目的」としての利用も考慮しておきたいところです。
カブドットコム証券
カブドットコム証券の特徴として「豊富な自動売買機能を有する注文形式」がザラ場中の値動きを監視できないサラリーマンなどのニーズを取り込んでいます。
具体的には、もはや業界で一般的となった「逆指値注文」のほかに、株価推移とともに逆指値注文を自動修正できる「トレーリングストップ」。発注時点ではまだ確定していない価格を基準に発注できる「±指値」、利益確定の指値注文と同時に逆指値でのロスカット注文も合わせて設定できる「W指値」や買い注文と同時にその銘柄の売り注文を同時に予約する「Uターン注文」や「リレー注文」のほか「時間指定注文」などがあり、細かい取引ニーズに対応しています。
さらに、同証券が注力しているのは、返済期限のない一般信用取引です。とくに制度信用取引では売買できない非貸借銘柄を含めた信用取引で、2000を超える銘柄を売建可能とするなど、ネット証券では最大規模。株価下落に賭けるトレーダーの空売りニーズを満たしています。
また、同証券自身もの証券コードで上場していますし、三菱UFJFGのネット証券事業としてグループのバックボーンもあることから、対面証券並みの事業基盤を備えているのもメリットでしょう。
場中の値動きが確認できなくともデイトレを行いたい方、積極的に空売りを仕掛けたい方、すでに三菱UFJグループでの銀行口座がある方で、機動的に株式取引を行いたい方に適している証券会社でしょう。
カブドットコム証券
http://kabu.com/
GMOクリック証券
GMOクリック証券の特徴は、業界最安値水準の取引手数料でしょう。注文機能は限られていますが、現物取引をはじめ、信用、先物・オプション、FX、CFDの各投資対象で最安値水準にあるのは、アクティブトレーダーにとって魅力が大きいのではないでしょうか。
そしてシェアアップに貢献しているのが、ネット系証券のなかでも先行して取り組んでいたFX(通貨証拠金取引)の顧客獲得が挙げられるでしょう。FX専業に見劣りしないスプレッド幅でアクティブトレーダーを惹きつけながら、1つのIDとパスワードで他の金融商品も取引できる「シングルサインオン」で相場の局面に応じて投資対象を切り替えられるのもメリットとなっています。
ただ、割安な手数料に魅力はあるものの、サービス面から取引初心者にはやや敷居の高い印象があります。取引に慣れ、割安な手数料で活発な売買を行いたいアクティブトレーダーに適した証券会社と言えるのではないでしょうか。
GMOクリック証券
https://www.click-sec.com/
マネックス証券
マネックス証券の特徴としては「投資初心者を取り込むべくユーザビリティに注力していることが挙げられるでしょう。また、国債、社債など個人向け債券取引にも注力していることから、投資初心者から資産防衛ニーズの高齢者など、安定運用を目指した投資家層に適した証券会社とも言えます。
さらに、ロボットが運用を手掛ける日本初の投資信託「カブロボファンド」や、海外株の特定口座対応を打ち出すなど、ユニークなサービスも拡充。積極的に投資収益を目指すトレーダーには物足りない印象もありますが、それほどの活発に売買しない投資家ニーズを満たしていると言えるでしょう。
マネックス証券
https://www.monex.co.jp/
他の証券会社
他には岡三オンライン証券、ライブスター証券、岩井コスモ証券、内藤証券、むさし証券などもネットトレードを行っていますが、初めて口座開設を行う場合には大手証券との取引をオススメします。